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ヒョウタンツギの役はわたしがやりましょう!?(PART 2)

後半の4つです。もっとあるんですけどね。では……、

●「ブラックジャック」
現在では手塚治虫というとこの作品を真っ先に思い浮かべる方が多いでしょう。すべてを読んだわけではありませんが、この「ブラックジャック」のシリーズはどれも話がおもしろいです。またそこに当時、円熟味を増していた手塚さんの語り口がどの作品にも冴え渡ります。ブラックジャックの人物造形には、黒澤明監督の映画の主人公、桑畑三十郎&椿三十郎、そして「赤ひげ」の新出去定の影響を感じるのですが。

●「陽だまりの樹」
幕末を舞台にした歴史的事実と創作を交えた大人のマンガとして、実に読み応えのある作品でしたね。教科書で習う幕末は、どうしてもとおりいっぺんのものになってしまいますが、2人の若者をとおして歴史に翻弄される人達の苦しみを描いていきます。そこには表側からは見えない裏の世界があるのです。その実在の人物達のエゴや理不尽な出来事を、ほとんど創作されたキャラクターと交えることによって、読者により説得力を持たせることに成功しています。

●「アドルフに告ぐ」
手塚作品の集大成にして、最高傑作といって間違いないでしょう。すばらしいマンガです。いや、マンガという範疇には収まらない芸術品です。もちろん、話のおもしろさ、語り口のうまさはいうにおよばず、そのスケール感といったら他に類を見ないでしょう。ヒットラーの体にはユダヤ人の血が流れているという皮肉な設定からして読者のド肝を抜きます。そこから展開するストーリー。ドイツ人のアドルフ、ユダヤ人のアドルフの友情の運命。ここでも国家に翻弄されていく人々。そしてヒットラー自身。すべての糸がひとつにつながり破局へ向かう。人間の愚かさを痛烈に描いていきます。そして、ラストは今でも続く対立の愚かさ。人間というものはいつになっても同じ間違いを続けていく。すごいラストです。

●「火の鳥」
「アドルフに告ぐ」が表の最高傑作なら、この「火の鳥」は裏の最高傑作です。この作品はごく初期の頃から非常に評判の高いマンガでした。一種カルト化されていた時もありましたね。各編ともすばらしい。特定のキャラクターがいるわけではないので、そのつど自由に創作されているので手塚さんのやりたいこと、描きたいことがモロに出ています。そこに共通するのは時間や空間を越えた、人間のエゴや、人生の意味、生命への限りない欲求、それにまつわる科学への過信、そして輪廻転生などなど。ポピュラーな作品の根底にあるテーマをさらに押し進めるかたちで表現されています。もちろん、マンガとしても長編を一気に読ませるすばらしいもの。手塚治虫と格闘するのには最高の最重要作品です。「火の鳥」とはいったいなに者なのか? いやでも考えさせられますね。

こうして選んでみると、あたりまえな作品しか出てきませんでしたけど、他にもたくさんいい作品あります。わたしが考えるに、手塚さんの作品の主人公達は常に異端であるということなのですね。ロボットにしても、白いライオンにしても、バンパイアにしても、小山内桐人にしても、三つ目にしてもそうです。彼等が多数の中へ解け込みたい、分かって欲しいという葛藤が物語の軸になっているような気がします。つまり弱者の主張ですね。強い者だけが生きているのではない。弱い者達も一緒に生きているのだというメッセージがそこにあるのでしょう。「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」でも、そんな手塚さんのメッセージが伝わるようなものになればさらに良いものになるでしょうね。期待しています。

(おわり)

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