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「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」愛あらばこそ正直に手厳しく!!!(2)

あくまで、この「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」においては、主要登場人物の多くがこの問題を抱えている。人間の魂を渇望する魔女へケート(藤本美貴)。これもなぜ、そこまで人間の魂を欲しがるのか伝わってこない。なにか狂うおしいまでの欲望を表現しなければ、魔女の意味もないように思える。最後は「いい人」になってしまった。牢番ピエール(石川梨華)のサファイア(高橋愛)や王妃(マルシア)に対する配慮も、やや弱い気がする。同じくトロワ(三好絵梨香)、コリン(岡田唯)もすぐ同調してしまう。フランツ王子(安倍なつみ)もまた、サファイアと恋に落ちるきっかけに工夫がないのではないか? もっと劇的な出会いを用意しても良かったろうに。

問題はサファイアである。ここでのサファイアは、手塚治虫作品の最大のテーマ「葛藤」に欠ける。ロボットなのに、人間の心を持つアトムの葛藤。女の子なのに、男の子の心を内在するサファイアの葛藤。ドイツ帝国の総統であるにも関わらず、ユダヤ人の血が流れている(と仮定された)アドルフ(ヒットラー)の葛藤。そこから考えれば、フランツ王子に恋してしまい、本当のことをいうにいえないサファイアの胸の苦しみ、悲しみを、もっと前面に出しても良かったと思う。この女の子と男の子の差別化が判然としないのが、このミュージカルの最大の弱味となってしまったのではないか? 女の子のサファイア、男の子の時のサファイア。この両者が対立した時に、物語は最高の盛り上がりを見せると思われる。

このように登場人物が平板な印象なものだから、ストーリーはご都合主義のように進む。また、そう見えてしまう。これを救う方法はある。出演者が演技力でカバーするというものだ。モーニング娘。、美勇伝、安倍なつみ、みな破綻なくうまくやれていると思う。しかし、うまくやれているのと感動を呼ぶのとは違う。人物造形やストーリー、そして、演技は脚本・演出家の領分なので、基本的には彼女達に責任はないが、どうしても見なれているせいか「ハロモニ。劇場」を連想してしまう部分もある。演技はむずかしい!! ごく一部のメンバーを除いて、このように本格的な演技をするのは初めてだろう。同情は出来るが、やはり考え込んでしまう。

ここで最も注目されるサファイア役・高橋のことにおよぶのは心苦しいのだが、しょうがない、座長なので大きな心で受け止めて欲しいところ。ただでさえ台本で平板になってしまったサファイアを、高橋の演技力でカバーして欲しかった。ところが、ここでも女の子のサファイアと男の子のサファイアの切り替えがうまく出来なかったように思える。いろいろ負担が大きいのも承知の上。だが、高橋には現在のメンバーの中で最も演技経験があるはず。それらを含めてこの主役に抜擢されたのだろう。もちろん宝塚などステージものにも興味を持っている。わたしの考えでは、将来は、こちらのほうへ事務所は進ませたのだろう。その試金石となっているに違いない!! 彼女の性格から、おそらくまじめに台本どおり演じているはず。しかし、ここは高橋に任せたのだ。台本にとらわれず自分の解釈、スタイルでサファイアを演じて欲しい。「こうでなきゃいけない」というような思いに、捕われ過ぎているように見えるからだ!!!

(つづけ)

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