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2つの「リボンの騎士」と1つの「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」!!!(2)

この波瀾万丈ともいえるストーリーを紡ぎ出す若き手塚の才能には驚嘆せざるをえない。裕福な家庭で育った手塚は、昆虫に関心があっただけでなく、子供の頃から文学全集などを読み、数少ない娯楽であった映画や宝塚歌劇を見ることが楽しみであったようだ。宝塚に関しては次のようにいっている。

「ぼく自身も母に連れられて、歌劇を観ることが多かったが、まがいものながら、それは世界中の音楽やコスチュームとの対面であった。フォーリイ・ベルジュールやムーラン・ルージュのにせものだったりしたが、そんなことは知らないので、この世の最高の芸術だと感嘆した。『リボンの騎士』は、そういった歌劇中毒症状がまだ完癒せぬまま少女漫画として書いたものである」

これら、手塚が見たり聞いたり読んだりしたものが渾然一体となった結果が、この「リボンの騎士」なのだろう。これは余談だが、手塚作品には映画的手法がよく見られる。もし、手塚が漫画家でなく映画監督になっていたらどうだろう。時として絵コンテのように見える手塚の漫画は映画向きだ。これを映像に出来たら、さぞおもしろいものが生まれたと思う。日本映画界にとっては大きな損失だったのではないだろうか。しかし、その仕事は息子・手塚眞氏が引き受けた。

その後にリメイクされた、なかよし版「リボンの騎士」を見てみよう。これは単行本2巻に分かれているだけあって、その物量は圧巻だ!! 手塚は少女クラブ版を元に、徹底的にゴージャスかつ壮大なエンターテイメントに仕立てあげた。結果的に権力闘争やファタシズム、キャラクターの濃度など繊細な部分は薄まっている。また、決定的な違いとして、登場人物の多さがあげられる。物語の後半になるとそれは顕著だ。まず、「海賊ブラッド船長」が出てくる。彼は実はフランツの兄。当然サファイアとからみ恋に落ちる。弟であるフランツと恋の鞘当てが始まり、野性的な兄ブラッド、好青年の弟フランツ、これにサファイアがからむ恋の三角関係となる。読者は誰に肩入れするか。「きらりん☆レボリューション」に出てくる2人組キャラ・シップスのようなものである。

死にかけているサファイアを救うため、チンクに教わりフランツが訪れるオリンポスの花園の主「ビーナス」もそのひとり。フランツに一目惚れをし、サファイアに嫉妬する美と愛の女神。このなんとも人間的な女神は、恋に落ちた真実味に溢れている。また、サファイアを女の子だとは知らずに恋してしまう「女剣士フリーベ」。この2人の場面は同性愛のムードが濃厚だ。フリーべと結婚するため教会に行き、そこで自分は女の子だと告白するサファイア。その証拠に胸の膨らみをフリーべに見せ結婚をあきらめさせるコマは、当時としては画期的な表現だったのではないだろうか。そして、これらのキャラクターが増えたことにより、サファイアとフランツの恋の障害が幾重にも重なり、2人の愛はさらに燃え上がるのだった!!!

(つづけ)

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