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2つの「リボンの騎士」と1つの「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」!!!(3)

なかよし版のもうひとつの変化は、ヘケートと母親・魔女ヘル夫人の存在だろう。そう、ここでは少女クラブ版での悪魔は魔女に変わっている。この意図はよくわからないが、女性の心理をサファイアとの対比で見せたいと思ったのか? それとも子を思う気持ちを大きく表すには、女性である母親のほうが都合が良かったのか? 手塚のことだ、なにか考えがあってのことだろう。また、その存在は以前にも増して大きくなりサファイアやフランツと強烈に対峙する。

そして、パワーアップしたのは魔女だけではない。ヘケートもさらに重要な役回りを演じている。親を困らすおてんばぶりは少女クラブ版の比ではない。最後には母親をも裏切りフランツを助ける。このヘケートの生き方に親からの「自立」を見るのは大げさなのだろうか? 魔女ヘル夫人とヘケートの暗躍によって物語の大半が進むなかよし版「リボンの騎士」は、2人の死を持って終わっても良かったのかもしれない。なぜなら、この後に出てくる、ビーナスとフリーベの話がやや取って付けたような感じがしてしまうからだ。

そんな不満はあるものの、前作に比べより洗練された絵、自由なコマ割り、当時人気だった怪獣映画のような対決シーンなど、ダイナミックかつスピーディーな展開で、現在でも違和感なく読むことができるのではないだろうか? 時に意味もなく、コマぶち抜きでサファイアの全身が描かれるなど、いかにも少女漫画らしい演出が微笑ましくもある。

さあ、問題の木村信司版「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」はどちらからの作品なのか? はっきりいって、どちらともいえない。というのも「リボンの騎士 ザ・ミュージカル」は、少女クラブ版、なかよし版双方の後半部分がカットされたものだからだ。逆にいうと、少女クラブ版もなかよし版も前半部分に大きな差はない。そこを物語の中心に据えたといえるだろう。強いていえば、なかよし版に近いと考える。それは、ヘケートのキャラクター、また、サファイアに返すようフランツに女の子の魂を渡すという彼女の最後。ミュージカルにおける大臣の息子、その役割の意味。全体の政治色の薄さ。そして、なにより娯楽性の追求にそれは見られる。

当然すべてをステージで進めるわけにはいかない。出演者、上演時間も限られている。そこで、手塚眞氏から自由に創ってかまわないというお墨付きをもらった。木村氏も古いものにしたくない、というコンセプトを立てた。そこで原作にこだわらず、設定と大筋だけをもらい大幅に創り変えたと見るべきだろう。これはあくまで木村信司の「リボンの騎士」なのだ。今、あらためてここで紹介した手塚治虫の原作漫画本を読んで、このミュージカルに思いを馳せると、その苦労が忍ばれる。しかし、メンバーとの初顔合わせから彼は自信満々だった。その自信はいったいどこから来たのだろうか!!!

(つづけ)

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