オールドロッカー達の逆襲(108)
「歌は世に連れ、世は歌に連れなぞと申しますが…」となにやら演歌の前口上のよう。でもこれは名言ですね。この回の最後はイーグルスの『テイク・イット・イージー』が流れるという演出。初めてこの曲を聞いた時は、のんびりしてていいじゃん、などと軽く聞き流していたのですが、このような時代背景から出てきた「必然」を持った歌なんですね。ジャクソン・ブラウンとグレン・フライ2人は、そんなことなど意識せずに書いたつもりでも、心が敏感に感じとったのでしょう。アーティストとはそういう能力に長けた人達なのかもしれません!!
「ダンシング・イン・ザ・ストリート〜ロックがかけぬけた半世紀〜」第6回 霧の8マイル〜ドラッグ・カルチャー〜(5)
■ウッドストックとオルタモントがロックの持つ二面性をさらして60年代は終わった。そして新しい朝が待っていた
夕方、激しい嵐がウッドストックを襲いました。
☆ロック・スカリー「僕らはライトショーを計画していたが嵐でそれどころじゃなくなった ライトショーに使うための巨大なスクリーンも下ろされてしまった すると強風でスクリーンが帆のように膨らみステージは船のように坂を滑りだしたんだ 僕らは必死でスクリーンに飛びつき大きな穴を開けた 風が通り抜けるとステージはやっと止まった ところがガルシアときたら「何の騒ぎだ?」とさ」
ウッドストックの成功は70年代のスタジアム・コンサートや大規模な野外フェスティバルへの道を開きました。
☆マイケル・ラング「イベントが終わった月曜日の朝11時ごろ僕は最後のヘリコプターで開催地を飛び立った そのとき初めて開催地を空から見下ろした 地上では子どもたちがゴミやボロを集めていた 高度を上げるとそこには平和のマークができていた 印象的だったね」
それ以来コンサートは巨大化に向かいます。
☆ジェリー・ガルシア「最初はストーンズを公園にこっそり連れ出して30〜40分演奏するだけのつもりだった ところが彼らには別の思惑がありコンサートの記録映画を撮影しようとしていたんだ」
☆ロック・スカリー「会見直後公園側から開催は断ると言われた そこで至急会場を探しはじめた 皆がサンフランシスコに向かおうとしていたからね」
開演の2日前にようやく会場が見つかりました。サンフランシスコ郊外オルタモントのレース・サーキットです。会場の警備に当たったのは暴走族のヘルズ・エンジェルズでした。
この野外コンサートは西海岸のウッドストックと銘打たれていました。しかし、はるばるオルタモントに駆け付けた大観衆が見たものは愛や平和とはかけ離れたイベントでした。
☆ポール・カントナー「めちゃくちゃだった ヘルズ・エンジェルズは新入りだけで大暴れしていた 思い出したくない出来事さ」
☆ミック・ジャガー「お願いだ 仲良くやってくれ」(オルタモントの記録映像からステージ上で)
ローリング・ストーンズが登場する頃には混乱は最高潮に達し観客1人が犠牲になりました。
☆ロック・スカリー「69年12月のオルタモントとともに60年代は終わった 占星術師ならあの日の前兆が読めただろうにね あのとき愛と平和の時代は終わったんだ」
70年代の到来とともにサイケデリックの時代は影をひそめました。ハイト・アシュベリーは人通りもまばらになり、バンドは拠点を移し始めます。そしてふたたび新たなスタイルが芽生えようとしていました。ザ・バーズはかつての前衛的なサウンドからいち早く脱皮し、カントリー調のアルバム「ロデオの恋人」を発表します。
☆ロジャー・マッギン「ポップスにカントリー色を加えた成功例は既にあった 僕が作った『ミスター・スペースマン』も…(歌ってみせる)カントリーふうだ 僕らはナッシュビルでアルバムを作ることにした 地元の歌手と一緒にね」
ザ・バーズの新しい試みはカントリー・ロックと呼ばれるようになります。かつてのドラッグの番人グレイトフル・デッドまでがカントリーを指向し始めました。
☆ジェリー・ガルシア「次回作はカントリーで行こうと皆に話した カリフォルニアふうのカントリーさ よけいなものを一切そぎ落とした感じだ ごくシンプルなアレンジで多重録音などもしていないあくまで歌の伴奏としてプレイしたんだ」
☆フィル・レッシュ「方向転換にはいい時期だった 簡潔な曲と詞が新たな課題になった オルタモントの前から既に時代は変わりつつあったし67年当時の平和な状況が続くはずなかった 皆傷つき殺気立ってたんだ」
やがてカントリー・ロックはウエスト・コースト・サウンドへと水が流れるごとく移行します。ドラッグが見せたつかの間の夢は終わりました。ヒューマン・ビーイングもその後の混乱も新たな時代のうねりに飲み込まれていきました。
(「第6回 霧の8マイル〜ドラッグ・カルチャー〜」はこれで終わりです。次回からは「第7回 ジギー・スターダスト〜ビジュアル的挑戦〜」をお届けいたします)
●ALBUM TOP(2007-12-01)
6 ← 2 Eagles Long Road Out Of Eden
7 ← -- Led Zeppelin Mothership
17 ← -- James Taylor One Man Band
25 ← 16 Robert Plant / Alison Krauss
36 ← -- Duran Duran Duran Duran's Red Carpet Massacre
37 ← 27 Bruce Springsteen Magic
54 ← -- Aretha Franklin Jewels In The Crown: Duets With The Queen
55 ← 42 Santana Ultimate Santana
67 ← 48 Van Morrison Still On Top - The Greatest Hits
79 ← 56 Soundtrack Across The Universe: Deluxe Edition
80 ← 63 Eric Clapton Complete Clapton
88 ← 66 Neil Young Chrome Dreams II
93 ← 126 Marie Osmond Marie Osmond's Magic Of Christmas
●POP CATALOG(2007-12-01)
11 ← 16 Elvis Presley Elvis Christmas
13 ← 3 Eagles The Very Best Of
18 ← 44 James Taylor James Taylor At Christmas
21 ← 5 Eagles Their Greatest Hits 1971-1975
22 ← 26 Elvis Presley It's Christmas Time
●CONCERT GROSSES(2007-12-01)
4 -- Bruce Springsteen & The E Street Band Izod Center East Rutherford, N.J. Oct. 9-10, 2007 $3,604,315 38,976 / 38,976 2 / 2 $95, $65
(http://www.billboard.com/より)
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